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電子文書のライフサイクル管理について解説します

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2023/05/30
電子文書のライフサイクル管理について解説します

本記事では電子文書のライフサイクルについて解説しています。現在法定文書の管理は一通りできていて今後はそれ以外の紙文書や電子文書の統合的な管理を検討している方、最終的にペーパーレス化を目指している方は、ぜひご覧ください。

プロセスは紙も電子文書も同じ。ただし…

文書を作成し、活用して、再利用のため保存を行い、保存期間が終了すれば、処分のプロセスにおいて廃棄かアーカイブズへの移管かを選択する、というライフサイクル管理のプロセスは、紙文書も電子文書も共通のものです。しかし、媒体ごとに特性があり、そこに管理上の違いが生じます。例えば、紙の場合は、物理的に目で見て確認でき、形があるから物としての管理がしやすいです。一方、パソコンのハードディスクや共用のサーバーに保存された電子データとしての文書は開かないと内容がわからないため、統一したルールに基づいて整理・保存されていないと、検索が非常に困難です。従って、電子文書のライフサイクル管理を行うには、電子文書の特性に合わせたITを駆使した管理が大切になります。

(関連記事:情報ライフサイクル管理はなぜ必要か?)

組織文書は必ず共有化する

まず、組織文書と個人文書を明確に区分して保存することが重要です。組織文書とは、行政機関の場合は公文書(行政文書)を意味し、いわゆる「組織共用文書」に該当するものをいいます。具体的には、「職員個人の段階にとどまるものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、当該行政機関の組織において業務上の必要性から利用・保存している状態にあるもの」を意味します。個人文書とは、それ以外のもので、専ら自分の仕事の遂行の便宜のためにのみに利用する文書、個人的な検討段階の文書などをいい、正式文書のコピー、個人的な参照文書、メモ、備忘録などを指します。行政機関の場合、この区分は非常に重要です。なぜならば、情報公開請求があった際、公開対象文書になるかどうかの区分けにも通ずるからです。具体的には、組織文書は文書管理システム1)や共用サーバーなどにて保存、個人文書はクライアントPCでそのままか個別の個人用の記録デバイスで保存することになります。クライアントPCや個人用の記録デバイスでの個人文書は、基本的に自分で管理しなければなりませんので、不要になった文書は早めに廃棄するなど、管理を徹底しなければなりません。

*1)「文書管理システム」とは、総務省が文書管理業務の業務・システム最適化計画に基づき整備した政府全体で利用可能な一元的な文書管理システムをいう

登録されるとライフサイクル管理が始まる

共用文書として認定された電子文書は、電子データとしてライフサイクルの環の中で完結するのが基本的には望ましい形です。もし電子文書をわざわざ紙に印刷して管理しているのであれば早急に改め、文書の生成から廃棄まで、電子データでの一貫的な運用に移行するとよいでしょう。そのためには詳細なルール化やマニュアルの整備が必要になります。また、紙文書でしか存在しない組織文書すべてを一気に切り替えることは現実的ではありませんので、どの紙文書から遡及して電子化するかという移行計画など、下記項目をはじめとする電子化の基本計画を立案して対応することになります。

  • フォルダ形式の体系化と標準化体系的な分類によるフォルダ階層、フォルダタイトル、文書タイトルの標準化(バージョン管理含む)
  • 保存期間管理、移管時期管理
  • メタデータの定義、標準化
  • 電子文書の長期保存戦略の立案
  • 現用及び非現用の文書管理専門職の設置 レコードマネージャーやアーキビストの設置
  • IT専門家との連携協力体制の構築レコードマネージャー、アーキビスト、IT専門家との連携協力体制の構築


まとめ

大量の文書を扱う組織では、必要な文書を素早く探し出し、利用できれば業務の効率化を図れます。特に電子文書管理では高度な検索機能を実装し、さらに場所や時間に縛られないデータの共有化などを進めることで質の高い業務が可能となり、生産性の向上につながります。

また適切な電子文書管理はリスクマネジメントの基盤です。情報漏えい、改ざん、紛失、消失の予防や、説明責任や損害賠償などを問われた際に迅速な対応が可能です。

本記事では電子文書のライフサイクル管理について解説しましたが参考になりましたでしょうか。本記事も含め電子文書管理全般、あるいは詳細についてお知りになりたい場合は、文書管理に関する様々なテーマや課題についてコンサルティングからシステム開発・運用に至るまで一貫したサービスご提供し、450社以上の実績がある日本レコードマネジメントへお気軽にお問い合わせくださいませ。