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アーカイブズの歴史について解説!最近のアーカイブズの動向は?

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2022/12/09
アーカイブズの歴史について解説!最近のアーカイブズの動向は?
もともと市民には公開されていなかったアーカイブズが、どのように公開されるようになっていったのでしょうか。そして、日本におけるアーカイブズの歴史と最近の動向についても解説します。

大昔、アーカイブズの文書はどのように保存されていたのか

アーカイブズの起源は、今から4000年以上前のメソポタミア時代までさかのぼります。古代アッシリアのアッシュール・バニパル王は王立図書館をつくり、古代メソポタミア各地の文書史料(粘土板)を約3万枚集めていました。
その頃から17世紀までの間は、重要な文書を、国家、企業、宗教団体、ファミリー、個人が財産として長期に保存していましたが、あくまで内部の関係者のみが利用できる施設で、市民には開放されていませんでした。

一例を紹介しましょう。教皇によって公布された全法令を保管するためにバチカン市国に設置された教皇私有の文書館「バチカン使徒文書館」があります。そこには8世紀以降のさまざまな文書が保管されており、著名な所蔵文書としては、15世紀のガリレオの異端審問の記録や、18世紀のフランス王妃マリー・アントワネットの獄中からの手紙なども保管されています。しかしこれらは、教皇レオ13世が1881年に研究者に解放するまで、研究者のアクセス権も非常に制限されていました。

フランス革命以降、市民に開放された公文書館が多く作られた

初めて市民に対して政府のアーカイブズ文書を公開する施設が作られたのは、1794年に建てられたフランス国立公文書館です。「アーカイブズ保存に関する1979年1月3日法」という法律が制定され、公文書を国民の共有財産として保存し公開するという近代的なアーカイブズの仕組みが初めて実現しました。その後、1838年にはイギリスの公文書館(パブリック・レコード・オフィス)が設立され、その約100年後の1934年には、アメリカで国立公文書館が設立されています。

欧米では、アーカイブズは社会にどれだけ民主主義が根付いているかを測るバロメーターだとよく言われます。欧米の国立公文書館は、非現用のアーカイブズ文書の保存と公開のみではなく、現用文書の作成から保存、処分に至るまでのライフサイクルを総合的に管理する機能を備えており、文書管理を通じて行政のアカウンタビリティ(説明責任)を支えています。アメリカの第8代国立公文書館館長ジョン・カーリンは「公文書館は、単なる歴史保存施設ではなく、人権擁護や説明責任のための、民主主義の本質に深く関わる施設である」と説明しており、行政のアカウンタビリティへの強い思いを表しています。

 

アジアにおける公文書館の歴史

中国では1925年、韓国では1969年に、また、その他多くのアジア太平洋地域の諸国においても第2次世界大戦後に、それぞれ国立公文書館が設立されています。これら各国の公文書館では、現政府の公文書を永久保存し、公開すると共に、植民地時代や占領期に失われた文書の収集及び先住民や入植者・移民に関するオーラルヒストリー(口述記録)の作成や収集などの活動を行っています。なお日本は他のアジア諸国と比べかなり遅く1971年に国立公文書館が設立されました。

日本における公文書館の歩み

欧州のアーカイブズに関する情報は、明治期に日本へ入ってきました。しかし、ごくわずかな識者の間に留まり、博物館や図書館のように広く知れ渡って各都道府県に設置されるまでには至りませんでした。日本で最初の公文書館は、第二次世界大戦後の1959年に誕生した山口県文書館です。山口県文書館は、県の公文書とともに県内の民間アーカイブズ文書を保存する施設として設立されました。

1950年代半ばになると、市町村合併(昭和の大合併)による公文書の廃棄を阻止する運動が起きました。1970年代に入ると、自治体史編纂事業で収集したアーカイブズ文書の永久保存を求める声が上がり、それ以降、アーカイブズの設置が少しずつ増えるようになりました。

国立公文書館について

1971年には国立公文書館が総理府の付属機関として設立されます(東京都千代田区、2001年より独立行政法人へ移行)。これは、1959年11月に政府に提出された、公文書の散逸防止を勧告する日本学術会議の要望書が契機となっています。1987年12月、アーカイブズを設置するための根拠法となる公文書館法が、ようやく制定されました。ユネスコ加盟国120ヵ国中で最後となりましたが、公文書館法の制定に伴い、アーカイブズ未設置の自治体においても「歴史資料として重要な公文書」などの保存に着手する事例が増えてきました。

国立公文書館は、1998年に茨城県つくば市につくば分館を開設し、書庫を拡充しました。また、同年、公文書館法で定める「専門職員」の養成体制整備を目指し、公文書館職員対象の研修(課程)を開始しました。1999年6月に国立公文書館法が制定されたため、国立公文書館は、行政機関の公文書だけではなく、司法と立法を含めた全ての国の機関の公文書の受入が可能となりました。また、2001年11月には、「アジア歴史資料センター」を設置し、外務省外交史料館や防衛省防衛研究所図書館などで保存しているアジア関係のアーカイブズ文書をデータベース化し、インターネットなどを通じて情報提供を行うようになりました。

※参考  国立公文書館

近年の公文書館の動向

21世紀に入ると、自治体が保有していた明治期から昭和戦前期の公文書(永年保存文書)が国の重要文化財に指定されはじめます。その内訳は、京都府(15407点、2002年指定)、山口県(13549点、2005年指定)、埼玉県(7971点、2009年指定)となっており、各府県のアーカイブズで保存管理されています。

2011年4月には「公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)」が施行されました。これは、行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有する諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的として制定されました。具体的には、行政文書について、統一的な管理ルールを策定・実施し、レコードスケジュールを導入し、府省内の管理状況についての報告を義務付け、内閣府による実地調査・勧告制度を新設するほか、外部有識者の知見活用、歴史公文書等の利用促進などが規定されています。

また最近では、公文書館の活動範囲は広がりつつあります。公文書館(Archives)、図書館(Library)、博物館・美術館(Museum)が、「社会の記憶装置」「知の殿堂」という位置付けの3大文化施設として連携を深めており、これはMLA連携と呼ばれています。MLA連携の大規模例としては、アメリカのハーバード大学を中心として設立が目指されているアメリカ・デジタル公共図書館(Digital Public Library of America、通称DPLA)と、欧州委員会から支援を受けている欧州文化遺産のマルチメディア図書館ポータルEuropeanaがあります。

※参考1  アメリカ・デジタル公共図書館
※参考2  Europeana

まとめ

アーカイブズの歴史について解説しました。国・自治体ともインターネットを利用したデジタルアーカイブが充実してきました。私たちがアーカイブズに接する機会は増えてくるでしょう。
日本レコードマネジメントでは、公文書の整理・管理をはじめ、行政機関が保有する公文書・資料、歴史的記録等の『情報資産』に対し、利便性・セキュリティ・コンプライアンスに対応した運用サポートの実績があります。お気軽にご相談ください。