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書庫とは?その環境や運用方法を解説

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2022/07/11
書庫とは?その環境や運用方法を解説
オフィス内の文書のうち、あまり使わなくなったものは「書庫」への移動・保管を検討しましょう。書庫はどんな環境が求められるでしょうか?書庫の使い方、管理者の決め方、メンテナンスのしかたを解説します。

そもそも書庫ってどんなところ?

書庫は、あまり使わなくなったファイルをあらかじめ設定した保存期間まで保管する場所です。自分の会社で運営する書庫もありますし、外部の商用レコードセンターを利用する場合もあります。書庫は各部署で使われなくなった文書を集めて保管することが多いので「共用書庫」と呼ぶこともあります。

なぜ共用書庫で集中管理が必要なのでしょうか。一番の理由は、効率よく安全な環境で保存するためです。二番目の理由は、集中管理することで、文書の劣化や散逸を防止し、歴史的な文書をアーカイブズへ確実に移管するためです。そのため共用書庫には、効率的で密度の高い収納性と、万全なセキュリティ管理が求められます。

共用書庫の呼び名は組織によっていろいろあり、「資料センター」「資料室」「情報センター」などさまざまです。専任の管理者を配置して運営しているところもあります。

書庫での保管方法は大きく2通り

保存箱を使った保管方法

一般的には、汚れや破損を防ぐ耐久性のある文書保存箱にファイルを格納してから棚へ配架します。共用書庫での保存は長期間になります。文書保存箱には同一の廃棄年月日の文書入れておき、箱単位で廃棄処理することもあります。自社運営の共用書庫以外にも、外部の商用レコードセンターと契約して文書保存箱を保管することもできます。

保存箱を使わない保管方法

自社で運営する書庫の場合、文書保存箱を利用せずに、ファイルを直接共用書庫の棚に配架して管理するところもあります。空調管理されている共用書庫であれば、塵などが堆積する心配は少ないのでそれが可能です。しかしその反面、ファイルを直接配架する方法は、ファイルがどこにいったかわかりにくくなったり、文書そのものもファイルから外れて散乱するリスクがあります。

阪神・淡路大震災や東日本大震災が発生した時に、保存箱に収納せずにファイルを直接配架していた書庫では、棚からファイルが飛び出して散乱したため、復旧に3か月~6か月を要した企業もありました。ファイルを直接配架する場合には、そのメリットとデメリットをよく考え、防震対策を施すなど、リスク対策にも配慮するとよいでしょう。

共用書庫の管理者は誰にお願いすればよい?

組織全体の共用ファイルを預かって保存するため、総務部門や企画部門が共用書庫の管理を行うのが一般的です。重要なのは書庫管理責任者を明確にすることです。組織全体の書庫管理責任者を定めたら、組織の各部門ごとの書庫の担当者を決めましょう。部門ごとの各担当者は、全体的な管理責任者と連携を取りながら、所属する部門の共用ファイルの管理に目配りする体制が望まれます。

管理責任者は責任を持って、事務室からの移動の促進や、共用ファイルの所在管理などを行います。これを行うことでようやく、各部門の誰もが簡単に文書を探し出すことができ、組織的な情報の活用が図れるというメリットが生まれます。

オフィスから共用書庫へのファイル移動のやり方

ファイルがよく使われているうちは事務室で保存していますが、プロジェクトの終了や年度の切り替わりなどで使われなくなった組織共用ファイルは共用書庫への移動を検討しましょう。事務室から共用書庫へファイルを移動することを伝統的なファイリングシステムでは「置換え」といいます。保存期間ルールの下で、事務室保存期間が満了になったファイルをファイル管理簿(文書管理システム)などで抽出・検索します。それが共用書庫への移動対象リストです。なお、個人ファイルや原本のコピーは共用書庫への移動の対象外ですので各自で廃棄します。

文書保存箱を利用して移動する場合の手順を説明しましょう。まず、移動対象ファイルを、文書保存箱へ収納します。箱詰めは、原則、課や室単位で、さらに廃棄予定年月が同一のファイルを同じ文書保存箱に収納します。これは、箱単位の廃棄処理を可能にするためです。次に、文書保存箱には、固有の識別番号(保存箱番号)、所属組織名、保存期間などを記載します。

ファイルを収納した文書保存箱が共用書庫へ送付されると、そこで所定の書架に配架されます。これらの処理手順は、自社運営の倉庫であっても商用レコードセンターであっても基本的には同じです。

共用書庫ではファイルを収納した文書保存箱のロケーション管理が重要です。共用書庫の書棚に番号を付けてロケーション番号とし、どの保存箱をどの書棚の何段目に配架したのかが分かるように、保存箱番号とロケーション番号を管理します。なお、ファイル単位で閲覧や貸出しを行う場合は、保存箱番号とその保存箱に収納されているファイル番号も管理する必要があります。

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共用書庫からファイルを取り出すときは?

組織全体の共用書庫の管理責任者は、集中管理している共用文書の利用状況も管理します。必要に応じて台帳を設置し、利用者や利用した日付などの貸出記録をつけることで、紛失を防げるだけではなく、利用状況の把握ができます。また、それらを分析することで、どのような文書をどのように管理したら良いか、改善に結びつけることができます。

ここではファイル単位の貸出しについて説明します。利用者からファイルの閲覧あるいは貸出し希望があれば、利用台帳に利用日、利用者情報(所属、氏名、連絡先)、ファイル番号、ファイルタイトル、利用目的、返却予定日(貸出日から10日あるいは2週間など、基本的な貸出期間を決めておきます)を記入してもらいます。

利用者からファイルが返却されたら、利用台帳に返却日を記入し、ファイルに汚れや破損などの不具合がないことを確認した上で、元の配架場所に戻します。もしも不具合がある場合には、修復してから配架場所に戻します。その際、不具合状況、修復内容を記録に残します。

返却期限が過ぎても返却されない場合は、利用者に督促の連絡をします。貸出延長の申し出があれば、利用台帳に延長受付日と返却予定日を記入します。延長を繰り返して貸出期間が長期に渡ると紛失の危険性が高くなります。最低でも2ヶ月に1回程度は貸出中のファイルを持参してもらい、現物を確認するなど紛失防止の対策をとるようにします。 なお、文書保存箱単位で貸出しを行う場合も基本的な手順は同じです。

あるはずのファイルがない!? 共用書庫の棚卸が必要な理由

共用書庫では、各部門からファイルを取り出して利用したいと要求があればできるだけ早くファイルを渡せるように、普段から正しい手順で利用することが大切です。しかし、ファイルの配架ミスや返却ファイルの戻し違いなどが発生する可能性はあります。また、管理責任者が不在の時に利用者が緊急でファイルを持ち出し、その記録を残さないまま返却を忘れてしまうケースもあります。

このようなことが起こると、ファイルを発見できなくなるので業務にも支障が出ます。そのため、保存状態の不備を早期に発見し復旧させるために、棚卸を実施します。棚卸とは現物照合することです。保存ファイルとファイル管理簿(文書管理システム)に登録されたデータを照合し、ファイルが正しい場所に保存されていることを確認する作業のことをいいます。 配架や収納の不備を発見したら、正しい場所に戻すなどの処置をします。また、ファイルが紛失して見つからない場合は、管理元に報告し、必要であれば新たに入手したり、廃棄手続きをします。

不具合を早期に発見するために、半年から少なくとも1年に1回は棚卸を実施することをおすすめします。棚卸の結果不具合があれば、同じ事が二度ないよう、原因を究明して再発防止を図ることが重要です。

まとめ

共用書庫の使い方、管理者の決め方、メンテナンスのしかたを解説しました。 共用書庫の管理は思いのほか大がかりな作業になります。本業の傍ら共用書庫の管理を行うのがむずかしい時には、書庫管理業務のアウトソーシングもあります。
文書保管、書庫への移管、ファイル管理簿による評価選別など、文書管理にまつわるコンサルティングやアウトソーシングをご検討の際は、文書管理のプロフェッショナル、日本レコードマネジメントまで気軽にご相談ください。