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保存期間が終わった文書は評価選別を

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2022/09/27
保存期間が終わった文書は評価選別を
事務室保存、書庫保存を経て、保存期間が満了したファイルは「評価選別」をします。
評価選別とは、ファイルを、永久保存・まだ使うので事務室や書庫に戻す・捨てる、の3つの選択肢から1つ選ぶことです。
評価選別のやり方と評価選別後の作業について解説します。

ファイルの評価選別とは

保存期間が満了したファイルは評価選別を行います。ファイルの評価選別とは、移管・延長・廃棄の選択肢のうちから1つ決めることです。評価選別を含む文書のライフサイクル管理については以下の記事でも詳しく解説しています。

参考:文書のライフサイクルとは?

参考:文書のライフサイクルにおける各プロセスを解説します

通常、年度替りの時期に、ファイルの所有者、各部門の管理責任者、組織全体の管理責任者が、保存期間が満了するファイルの内容を確認し、協議の上で延長か、移管か、廃棄かを決定します。この処分のプロセスには、歴史的な素養など幅広い知識が要求されるため、本来はアーキビストやレコードマネージャーなどの文書・記録の専門職の協力が必要です。

廃棄は特に慎重に行う

廃棄が適正と判断された場合は廃棄処理を行います。廃棄は文書そのものを消滅させるということなので、特に慎重な判断や手続きが求められます。そのため、部門の担当者だけではなく、管理者などの責任を負える人の同意が必要です。管理者は該当のファイルの内容を確認し、廃棄が適正と判断した場合にのみ廃棄処理を行います。

ちなみに国の公文書管理法では、行政文書ファイル等の廃棄には内閣総理大臣の同意が必要とされています。そのことから、廃棄がいかに重大な決定なのかがわかります。
廃棄を含め処分の際は、その理由や実施日などを「移管・廃棄簿」に記録し、トレーサビリティを確保しておく必要があります。なお、ファイルの廃棄は、原本だけでなく、全てのバージョンのコピーを含めて行う必要があるのでご注意ください。

具体的な廃棄の手順は


文書管理において、廃棄は最も重要で慎重に行なわなければならない作業です。本当にそのファイルを廃棄してよいのか判断し、間違ったファイルを捨てていないか確認したうえで廃棄します。確実に廃棄されなければ、ファイルが外部に流出する可能性もあります。そのため、廃棄は計画的にすすめます。

廃棄専用の箱にファイルを移す

文書保存箱には原則、同じ廃棄年月日のファイルが収納されているので、廃棄は文書保存箱単位で行います。文書保存箱が、耐久性があり繰り返し利用できる丈夫な素材であれば、廃棄専用の箱に入れ替える場合もあります。また、文書保存箱のうち、一部のファイルだけを廃棄する場合は、廃棄専用の箱に廃棄対象ファイルを移して、その箱が一杯になったら廃棄します。

2名体制で読み上げて二重チェックする

ファイル単位で廃棄する場合、誤廃棄を防ぐために、2名体制で二重チェックを実施することをお勧めします。例えば、1人が廃棄対象ファイルリストのファイル番号を読み上げ、もう1人がその番号のファイルを取り出し、背表紙に書かれたファイルタイトルを読み上げ、間違いがないことを確認したうえで箱詰めを行います。こうすることで、誤廃棄が防げます。

誤廃棄を防ぐためにさらなる工夫も

文書を箱単位で廃棄する際は、搬送時に蓋が開かないように封印し、誤廃棄を防ぐために廃棄シールを貼付します。廃棄箱への箱詰めは、他の保存箱と混在しないように、離れたエリアで行うなどの配慮が必要です。

廃棄箱は開けずに箱ごと溶解

廃棄箱は溶解処理します。最近は、留め具などの金属が付いたままのファイルも、廃棄箱を開けずに箱のまま溶解してリサイクルできる技術が確立しています。従って、産業廃棄物業者ではなく、機密文書廃棄の専門業者に依頼するとよいでしょう。業者によっては廃棄証明書を発行したり、溶解に立ち会えるところもあります。



延長はこんな時に行う

保存期間が満了しても、業務上の必要性から保存期間を延長することができます。
また、訴訟や法的措置、情報公開請求、監査・検査に関する記録も延長することがあります。訴訟や公的な検査や監査などが差し迫っているか、進行中の場合に、それに関するファイルが保存期間を満了していたとしても、廃棄することはできません。これは、海外の文書管理では法的保留(Legal hold)、国内では義務的延長と呼ばれます。もし廃棄すると、訴訟では訴訟妨害と取られ裁判が不利になったり、公的な検査では検査忌避と見なされ法令違反となるので注意が必要です。

移管はさまざまな目的がある

歴史的資料として永久保存するものは、アーカイブズ(施設)へ移管します。民間企業の場合は、アーカイブズを社史としての目的以外にも、広報・マーケティング、CSR、証拠(エビデンス)といった幅広い目的のために活用しています。


まとめ

文書管理の中で、評価選別は重い責任を伴います。組織の考え方、法律をよく知る管理責任者が横断的に組織メンバーの協力のもと行う必要があります。定められた基準をもとに進めますが、本業のある中で評価選別するのは負担が大きいと感じるかもしれません。
ファイルの評価選別でサポートが必要になりましたら、文書管理のプロフェッショナル、日本レコードマネジメントにご相談ください。